国交省/長距離通勤で短縮時間の労務費補正、自治体経由で市区町村へ

国交省、被災地営繕工事で試行中の労務費補正(短縮作業時間に応じた割増)を自治体工事にも適用促す

国土交通省は2026年5月25日付の業界紙報道で、直轄営繕工事で2026年3月から試行している「労働者の長距離通勤などで作業時間を標準より短縮した場合の労務費補正」を、自治体工事にも適用するよう促していることが明らかになりました。3月31日に大臣官房官庁営繕部計画課が発表した「営繕工事における猛暑対策と被災地で働く労働者へのサポートを拡充」の一環で、能登半島地震の被災地で宿泊場所が不足し労働者を遠隔地から確保せざるを得ないケースを念頭に置いた措置です。国交省プレスリリース(2026-03-31)日刊建設工業新聞(2026-05-25)

補正率は作業時間7時間超〜7.5時間以下で1.06、4時間超〜7時間以下で1.14。標準作業時間8時間からの短縮幅に応じた割増

労務費補正の具体的な数字は2段階で設定されています。標準作業時間8時間に対し、作業時間が7時間超〜7.5時間以下に短縮された場合は1.06の割増係数、4時間超〜7時間以下に短縮された場合は1.14の割増係数が適用されます。適用要件は「労働者の長距離通勤などで作業時間を標準の8時間より短縮して設定した場合」。能登海上保安署(石川県能登町)新築工事など、2025年度補正予算で措置された工事が当初の適用対象です。

展開ルートは「営繕積算方式」活用マニュアル経由。都道府県・政令指定都市に参考送付し、各種会議で情報提供して市区町村へ波及させる

自治体への展開は、国交省が運用する「営繕積算方式」活用マニュアルを通じて行われます。3月の試行開始に合わせてマニュアルを改定し、都道府県・政令指定都市へ参考送付するとともに、各種会議で情報提供する形で市区町村まで広げる方針です。直轄工事ではない自治体発注の営繕工事で同じ補正を適用するかどうかは、各自治体の判断に委ねられています。マニュアル本体は国交省官庁営繕部の活用マニュアル普及・促進ページから公開されています。

あわせて2026年度から、猛暑による作業中断等に伴う労務費の増加費用の積算も試行予定

同じ3月31日付の発表では、被災地サポートだけでなく猛暑対策の拡充も打ち出されました。

①受発注者間の協議による猛暑期間・猛暑時間の現場施工回避
②技術提案評価型S型を活用した熱中症対策提案の評価
③猛暑による作業中断等に伴う労務費の割り増し試行

の3点です。3点目の労務費割増は2026年度から営繕工事で試行されます。被災地・猛暑のどちらも、これまで現場側が吸収していた作業時間ロスを発注者側が積算で補正する方向に動いています。

出典: 国土交通省大臣官房官庁営繕部計画課「営繕工事における猛暑対策と被災地で働く労働者へのサポートを拡充しました~建設業の働き方改革をより一層推進~」(2026-03-31)報道発表資料PDF『営繕積算方式』活用マニュアルの普及・促進について日刊建設工業新聞「国交省/被災地営繕工事の労務費補正、自治体工事でも適用促す」(2026-05-25)