建退共退職金、5月1日から増額へ 職人の処遇改善に影響

建設業退職金共済制度(建退共)において、退職金の増額につながる制度改正が予定されています。厚生労働省は、建退共の退職金水準を見直す方向で調整を進めており、制度改正が実施されれば、建設現場で働く技能者の処遇改善につながる可能性があります。

建退共は、建設業で働く労働者のために退職金を積み立てる制度です。現場ごとの就労実績に応じて掛金が積み立てられるため、日々雇用や短期の現場をまたいで働く技能者にとっても、将来の退職金を確保しやすい仕組みとなっています。

何が起きたか

今回の見直しでは、建退共で支払われる退職金の水準を引き上げる方向で制度改正が進められています。背景にあるのは、建設業界で続く人手不足と、現場で働く技能者の処遇改善です。

建設業では、現場単位・工期単位で働く技能者も多く、一般的な退職金制度だけでは十分にカバーしにくいケースがあります。そのため、建退共のように現場での就労実績をもとに退職金を積み立てる制度は、技能者の生活安定や人材確保の面で重要な役割を持っています。

退職金水準が引き上げられれば、企業側にとっては「建退共にきちんと加入していること」や「掛金を適切に納付していること」が、採用活動や協力会社管理における説明材料になります。

現場への影響

  • 技能者:現場での就労日数に応じて積み立てられる退職金が増えることで、将来受け取れる退職金の増額が期待されます。特に、複数の現場を移動しながら働く技能者にとって、制度の重要性が高まります。
  • 建設会社:建退共への加入状況や掛金納付の管理が、これまで以上に重要になります。採用時にも「退職金制度を整えている会社」として、求職者に伝えやすくなります。
  • 元請企業:協力会社や下請企業に対して、建退共の加入状況や運用状況を確認する場面が増える可能性があります。公共工事を中心に、制度対応の説明責任がより重視されると考えられます。
  • 協力会社・下請業者:未加入者の有無、掛金の納付漏れ、証紙や電子申請の管理状況を改めて確認する必要があります。制度対応が不十分な場合、元請からの確認や是正依頼につながる可能性があります。

今後やること

  • 加入状況の確認:自社で働く技能者が建退共の対象として適切に管理されているかを確認します。未加入者や手続き漏れがある場合は、早めに対応する必要があります。
  • 掛金納付の確認:共済証紙や電子申請の運用状況を確認し、就労実績に応じた掛金が正しく納付されているかを点検します。
  • 社内周知:制度改正の内容が固まり次第、現場担当者や労務担当者に共有します。現場で技能者から質問を受けた際に、基本的な説明ができる状態にしておくことが重要です。
  • 採用・求人情報の見直し:建退共に加入している場合は、求人票や採用ページでその旨を明記することも有効です。退職金制度の有無は、求職者にとって会社選びの判断材料になります。
  • 協力会社への確認:元請企業は、協力会社に対して建退共の加入状況や運用状況を確認しておくと安心です。制度改正後に慌てないよう、事前に管理体制を整理しておくことが望まれます。

この先の注目点

  • 実際の増額幅:退職金がどの程度増えるのか、具体的な金額や計算方法が今後の注目点です。制度改正の詳細が示され次第、企業側でも影響を確認する必要があります。
  • 電子申請への対応:建退共では電子申請方式の利用も進んでいます。証紙管理だけでなく、電子申請による掛金管理に対応できる体制づくりも重要になります。
  • 採用への影響:人手不足が続く中、退職金制度を整えていることは、技能者に安心して働いてもらうための材料になります。特に若手や未経験者の採用では、福利厚生としての見せ方も重要です。
  • 下請・協力会社への浸透:制度が実際に現場まで浸透するかどうかは、元請・下請・協力会社それぞれの管理体制に左右されます。小規模事業者を含め、制度対応を進められるかが今後の課題です。

建退共の退職金水準が見直されれば、技能者にとっては将来の安心につながり、企業にとっては人材確保や採用PRの材料になります。一方で、制度を活用するには加入状況や掛金納付の管理が欠かせません。今後の正式な制度内容を確認しながら、早めに社内体制を点検しておくことが重要です。

参考: 建設ニュース