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設計図書は設計図に細かな仕様などを書き足した建設業の書類の1つで、施工に不可欠な資料です。
建設業で施工管理に携わる方であれば、設計図書の仕様に精通していなくてはなりません。設計図書は書き方の規格が細かく規定されているため、お悩みの事業者も多くいる
ことでしょう。
そこで今回は設計図書について、種類や規格・保存期間についてわかりやすく解説します。
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設計図書とは
まずは設計図書の概要からご紹介します。設計図書は建設業の施工管理に用いる書類です。以下の3点に沿って解説します。
- 設計図書の定義
- 設計図書の重要性
- 設計図との違い
設計図書の定義
設計図書は施工にあたって発注者に建築の具体的なイメージを伝えるための書類です。建築では発注者の要望に沿って施工をしますが、ヒアリングした要望から立てた計画を図と仕様によってわかりやすくしたものが設計図書です。建築士法では設計図と仕様書を合わせた書類を設計図書と定義しています。
設計図書の重要性
施工者は設計図書をもとに見積もりを行うため、設計図書は重要な書類です。建築の過程では発注者と施工者との間でのコミュニケーションが何よりも重要です。
施工者の立てた建築計画が発注者の要望と異なる、計画の意図が十分に伝わらない場合はトラブルに発展する可能性があるのです。設計図書はこのようなコミュニケーションエラーを無くして、適切な見積もりを取るために重要な書類です。
設計図との違い
続いて設計図書と設計図の違いを解説します。建築士法での定義では、設計図書は設計図に仕様書を合わせた書類です。ここでの設計図とは、建築物の寸法や材料を記した書類で平面図、立面図の2種類が主に作成されます。
一方で仕様書はこの設計図に則して、使用する材料の詳細や施工の詳細、工法を補足する書類です。この2種の書類を合わせて設計図書と呼びます。
設計図書の種類
一口に設計図書と言っても、複数の種類があります。続いて設計図書の種類について解説します。設計図書の主な種類は以下の通りです。
- 意匠図
- 構造図
- 設備図
- 外構図
- 仕様書
意匠図
意匠図は、建築物の見た目に関するデザインに特化した設計図です。建築では構造と並んでその見た目も重要な要素であるため、意匠図なしでは建築は完成しません。
意匠図は、
- 壁や床の仕上げをどのように行うか
- 照明をどこに何個配置するか
といったデザインに関する具体的な配置を可視化したものです。
意匠図には平面図、立面図、断面図の3種類があります。平面図は建物を平面で捉えた図のことで、主に部屋の位置や仕切りをわかりやすく示します。立面図は建物を各4つの方角から見た際の図です。断面図は建物を鉛直に切断した図面のことで、間仕切りだけでなく建物の高さもわかりやすく示しています。
構造図
構造図は建築物の柱などの構造部について示した図です。構造は建築物が自らの重さや設備、人の加重に耐えうる構造をしているかどうかを示す設計図です。また構造図には以下の5種類があります。
伏図
伏図は建築における柱や梁を平面的に図示した図です。各構造の部材にはアルファベットなどの符合を付して示し、後述する部材リスト図と対応させます。伏図のみでは構造の寸法を読み取れない点には注意が必要です。
軸組図
軸組図は伏図を立面的に表した図です。伏図と同様に構造の部材に符合を付しています。
部材リスト図
部材リスト図は上記の伏図、軸組図と対応する図です。主に構造部材の材質や大きさを詳細に記します。
詳細図
詳細図は、施工の過程で各部材がしっかりと納まるかどうかを確認する図面です。全体の納まりではなく、ボルトや鉄筋などの細かい施工が必要な箇所を確認します。
標準図
標準図は各構造部材の全体的な納まりを記した図です。建築全体の構造を図示しているため、構造の納まりは標準図に則って施工します。
設備図
設備図は建築設備についての図面です。設備図は大別して給排水機械設備図と電気設備図の2種類があります。設備図で表すものは主に以下の通りです。
- 空調
- 給排水
- 給湯
- 電気
- ガス
- 防災設備
- 照明器具
- スイッチ、コンセント
- 緊急通報装置
外構図
建築は建物の内部だけで完結するものではありません。家の門や庭、駐車場など建物の外部を含めて建築は完成します。外構図は建築物の外観をどのようにするかを示した図面です。
具体的には、建物と道路の境界線、隣接する建物との境界をどのように仕上げるかを図面にしたものが外構図です。その他にも建物外部の雨水の処理や給排水、ガスなどの配管ルートも外構図で示します。
仕様書
仕様書は上記で挙げた設計図では説明しきれない細かな要素を補足した書類です。仕様書には
- 特記仕様書
- 標準仕様書
の2種類があります。下記で特記仕様書、及び標準仕様書の2つを解説します。
特記仕様書
特記仕様書は標準仕様書に記載しきれない事項を記した仕様書です。特記仕様書は標準仕様書の内容を一部書き換えて作成するケースもありますが、記載内容が標準仕様書と一致しない箇所は特記仕様書を優先します。
具体的な記載項目は下記の通りです。
- 設計基準強度
- 鉄骨の製作工場のグレード
- 鋼材等の材質
標準仕様書
標準仕様書は工事に関する基本的な仕様をまとめたものです。標準仕様書は工事ごとに毎回作成するものではなく、事業者ごとに作成した仕様書をその都度使用することがほとんどです。また、公共工事に関しては国土交通省が監修する公共建築工事標準仕様書に基づいて行います。
設計図書の規格
続いて設計図書の規格について解説します。設計図書は一定の基準に沿って作成しなければなりません。下記で規格を詳細に解説します。
- 用紙の規格
- 文字の規格
- 線の規格
- 単位の規格
- 表示記号の規格
用紙の規格
設計図書の用紙は規定のサイズを使用しなくてはいけません。設計図書の用紙はJIS Z 8311におけるA1及びA3サイズで作成します。
用紙は横向きで使用し、輪郭と表題欄を記入しなければなりません。表題欄には以下の項目を記入します。
- 工事名称
- 図面名称、尺度
- 担当部局名
- 図面番号
図の配置に関しては以下のように規定されています。
- 平面図、配置図、案内図等は、図の上方を北とします。
- 立面図、断面図等は、上下方向を図面の上下に合わせます。上記の方法が難しい場合は上下方向を図面の左右方向に合わせ、左を上とします。
なお、輪郭線の引き方及び2面以上の平面図、展開図、伏図等を同一用紙内に記入する場合の配置方法は国土交通省が公開しているガイドラインに範例が記載されています。
参考:国土交通省
文字の規格
設計図書は記入する文字の規格も規定されています。設計図書の文字の規格は下記の3種類です。
1. 使用する文字は漢字、かな、アラビア数字及びローマ字とし、外来語はカタカナで表記する
2. 文字のフォントはゴシック体を使用する。また特定CADソフトの固有フォントは使用せず、一般的なフォントを使用する。
3. A1用紙を使用する場合の文字サイズは下記の通りです。
文字のパターン | 文字の高さ | 文字の幅 |
一般 | 4.0mm以上 | 3.5mm以上 |
タイトル | 10.0mm以上 | 8.0mm以上 |
参考:国土交通省
線の規格
設計図書に用いる線は以下の5種類です。
- 実線
- 破線
- 点線
- 一点鎖線
- 二点鎖線
作図でハッチングを行う際の線同士の距離は、平行線では、使用する線の太さの3倍以上、密集する交差線の場合は、使用する線の4倍以上にしましょう。また、塗りつぶし、スマッジングは禁止されています。A1サイズに線を引く場合は、下記図のいずれかを用いましょう。
範例1 | 範例2 | |
極太線 | 0.7mm | 0.5mm |
太線 | 0.35mm | 0.25mm |
細線 | 0.18mm | 0.13mm |
参考:国土交通省
単位の規格
設計図書で使用する単位の表記は以下にならって記載します。
- 単位はミリメートルを基本として、単位記号は記載しません。ただしミリメートル以外の単位を使用する場合は単位記号を記載します。
- 寸法は寸法線に添える形式で併記します。
- 角度、勾配は、度、正接使用します。正接を使用する場合は、分子を1とした分数を用います。また屋根勾配に関しては、分母を10として表わすことができます。
- 基準線は基準階柱心として、一点鎖線を用いて表記します。
切断線、柱列記号の表記例は下記の国土交通省のガイドラインで公開されています。
参考:国土交通省
表示記号の規格
続いて設計図書に用いる表示記号を解説します。表示記号は下記の3つで表記の方法が異なります。
- 平面表示記号
- 材料構造表示記号
- 建具開閉表示記号
平面表示記号
平面表示記号は縮尺に応じて、使用する記号が異なります。1/100、1/200の縮尺には建築工事設計図書作成基準における別表1に記載されている記号を使用します。表にない記号に関しては、尺度に応じ実形を表示し、補足説明を記載します。
参考: 国土交通省
材料構造表示記号
材料構造表示記号は、建築工事設計図書作成基準における別表2に記載されている記号を使用します。表にない記号に関しては、尺度に応じ実形を表示し、補足説明を記載します。
参考: 国土交通省
建具開閉表示記号
建具開閉表示記号は、建築工事設計図書作成基準における別表3に記載されている記号を使用します。表にない記号に関しては、尺度に応じ実形を表示し、補足説明を記載します。
参考: 国土交通省
設計図書の保存期間
建設業では様々な書類の保存が義務付けられていますが、設計図書もまた建築士法で一定期間の保存が義務付けられている書類です。
設計図書の保存期間は15年と定められており、適切な保存が為されていない場合は罰金を課されることがあるため注意が必要です。
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今回は建設業における設計図書に関して、種類や規格・保存期間についてわかりやすく解説しました。設計図書は設計図と仕様書を合わせたもので、設計者の意図を発注者にしっかりと伝えるための重要な書類です。設計図書は発注者とのコミュニケーションに欠かせないだけではなく、建設業法で保存が義務付けられている大切な書類でもあります。ぜひ今回の記事を参考にして設計図書を作成してみてください。
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