建設業における労務管理のAI活用方法やメリットなどを解説!

建設業における労務管理の取り巻く環境は、改正労基法を発端とした2024年問題などに対応しつつも決して良好な状況ではありません。

もともと建設業は従業員の正確な労務管理をおこなうことが難しい業種です。

また、2024年に施行された改正労基法により、従業員の正確な労務管理ができなければ罰則が科されるため重要性は今まで以上に増しました。

そのような背景により労務管理の担当者からすれば、色々な勤務形態がある建設業の労務管理を正確かつ迅速に処理したいと悩んでいませんでしょうか。

実は、労務管理はAIを活用することでより効率的に抜け漏れなども少なく対応することが可能です。

今回は建設業の労務管理において、抱えている課題、AIシステムの活用方法、メリットなどを詳しく紹介します。

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建設業における労務管理の課題

前述の通り、建設業は適正な労務管理をおこなうことがとても難しい業種の1つです。

その理由は建設業ならではの様々な課題によるところが多く、勤務の実情を的確に反映した労務管理ができていないためです。

労働時間を適切に管理できていない

建設業に従事している方の仕事はほとんどが現場での業務であり、決まった時間に出勤・退勤するオフィスワーカーのような安定した勤怠体系と違います。

自宅から会社に出向くことなく、直行で現場に向かったり、作業が完了したタイミングで直帰したりすることが多い業種です。

複数の現場を担当する従業員であれば、各現場にて労働時間を漏れなく記録することは現実的ではありません。

現場の働き方にも色々なパターンがあり、個々人によって勤務する日数や形態も異なります。

また、現場における仕事の状況によっても勤務体系が流動的となるため、正確な労働時間の管理はとても困難です。

勤怠管理を紙ベースで行っている

IT化が思うように進まない工事現場では、仕方なく勤怠管理を日報やタイムカードなどの紙ベースで行っている企業も数多くあります。

ただ、紙ベースでの勤怠管理は問題となるポイントが複数あり、建設業における労務管理を難しくする課題の1つです。

紙ベースの勤怠管理は、従業員が働いた時間の把握が勤怠の締め日を過ぎないとわかりません。

月の途中での労働時間の把握がほとんどできないため、集計時にはじめて労基法で定められた残業時間を超過している状態に気づくことも多分にあります。

また、紙での勤怠管理は従業員全員の労働時間を集計する担当者の多くの労力と時間が必要です。

しかも、労働基準法で定められた出勤簿などへの転記の際に起こる誤記やタイムカードの紛失など意図としない人的なミスも起こりえます。

出勤簿の保存期間は法律で定められており、5年間の保管が義務づけられてます。

紙ベースの帳簿は保存するためのスペースが必要で場所的にも金銭的にも非効率です。

ちなみに、出勤簿は労働基準法で定められた法定三帳簿(他は労働社名簿や賃金台帳)の1つに該当します。

シフト管理の負担が大きい

シフト管理の負担が大きいことも建設業における労務管理の課題です。

工事現場では、作業工程や内容によってその日に必要な適正な人数が変わり、進捗に合わせて毎日シフト管理をおこなっています。

人員の配置が多い場合、作業員を余らせ無駄な人件費がかさみ、反対に少ない場合は工事の進捗に遅れが生じます。

現場での作業効率をあげるため、従業員の必要な人数と稼働状況の把握は不可欠ですが決して容易ではありません。

とくに、複数の工事現場を掛け持った場合、たくさんの従業員のシフトを組むだけでも多くの時間を費やすため、管理業務の負担は大きくなります。

建設業における労務管理に活用できるAIとは

建設業における労務管理に活用できるAIとは、システム化した勤怠管理にAIを搭載することです。

AI化することで、勤怠管理にかかわるほとんどの業務が自動化もしくは業務効率の向上ができ、管理者の負担を大幅に軽減します。

また、AIによる勤怠管理はヒューマンエラーの防止や、担当者による偏りがちな管理体制を平準化できます。

従業員にとってもAIのメリットがいくつもあり、バリエーションが多い建設業の勤務体制に対しても柔軟に対応ができます。

建設業における労務管理のAI活用方法

労務管理が難しい建設業において、AIが搭載された労務管理システムでどのようなことが実現できるのかを具体的に解説します。

打刻管理を正確に行える

AIを搭載した労務管理システムは、生体認証の機能を活かし正確に打刻管理が行えます。

生体認証とは従業員の身体の一部やそれに準ずる要素を利用して本人を認識するシステムです。

身体の一部分の認証が出退勤の打刻のために必ず必要なため、代理打刻など他者による打刻が一切できません。

従業員側からすると生体認証による打刻は認証作業の手間が増えたり、システムエラー時などストレスを感じる場面も発生します。

ただ、会社としての労務管理の観点からすれば、不正による打刻がなくなり正確な打刻管理が可能です。

福利厚生の利用法などの質問に対応できる

福利厚生の利用方法などに関する基本的な質疑応答はAIで対応することで、従業員や担当者の業務効率の向上が見込めます。

従業員が会社の福利厚生を利用する際、担当部署へ制度について確認してから利用する方がほとんどです。

従業員側からすると担当部署からの質疑返答にタイムラグが発生し、他の業務に支障がでてしまいます。

また、担当部署側からすると、個別に対応するため同じ質疑に何回も対応しているのが実態ではないでしょうか。

AIが搭載された労務管理システムのほとんどが、対話形式のAIチャットボット機能の導入が可能です。

チャットボット機能を活用すれば、AIが質疑に対して適切な返事を自動で行うため、業務の負担が大幅に改善できます。

勤務面の問題を早期発見できる

勤怠の打刻データをもとに勤務面で問題となる傾向を早期に発見することも、AIが搭載された労務管理システムの活用方法の1つです。

一元管理された従業員それぞれの勤怠データから遅刻、早退、欠勤、残業時間が多いなど出勤状況を把握ができます。

そのため、異常な勤務状態の従業員に対する個別ヒアリング、体調面に関するアンケートなど個人に対して早急に対応が可能です。

休職や退職といった会社にとっても従業員にとっても不利益になる事態を未然に防げます。

建設業における労務管理にAIを活用するメリット

現場での仕事が大半を占める建設業の労務管理システムにAIが搭載されていれば、現場の従業員と労務担当者の両方に利点があります。

例えば、打刻漏れや忘れなどの個人に対するミスの防止や、一カ月の勤怠を締めた後の集計作業では組織としての業務効率の向上などがメリットです。

不正打刻を防止できる

前述の通り、AI機能が搭載された労務管理システムのほとんどは出退勤の打刻時に生体認証を取り入れています。

生体認証のシステムが搭載されていると、従業員本人が生体認証に対応するしかなく他人が代わって打刻を実施することは不可能です。

今までの労務管理のシステムで出来ていたごまかし打刻やなりすまし打刻などの不正をほぼすべて防ぎます。

打刻忘れに素早く対応できる

打刻の忘れに対して自動でチェックした上で知らせてくれる機能があることも、AI搭載の労務管理システムのメリットです。

建設業における現場作業は多くの従業員が出入りするため、出退勤時の打刻作業を意図せず忘れてしまうかもしれません。

そのような時に、AI機能による判断で打刻忘れを素早く検知し、打刻の抜けている勤怠表を管理者や従業員に教えてくれます。

業務を効率化できる

AI搭載の労務管理システムは労務を担当している人の業務効率について大幅な向上が望めます。

従業員が多い企業の場合、すべての社員分の勤怠を集計するだけでも多くの時間を必要とする作業量です。

人の手で作業すれば、疲れや精神状態によって転記ミスや読み間違いなども誘発され、修正に手間も時間も費やすことになりかねません。

その点、AI搭載の労務管理システムであれば、日々の出退勤の打刻から短時間で正確に労働時間を割り出し給与計算も自動化できます。

従来は数日かかっていた作業が、勤怠の締め日には完結させることも可能です。

シフト作成の負担を軽減できる

建設業においてAI機能のメリットを実感できるポイントの1つは、シフトを作成する時の管理者の負担が軽減できることです。

シフト作成はとても複雑で以下の内容をバランスよく考慮し、必要な人員を考えシフトを組み切る能力が求められます。

  • 従業員が提出する出勤希望
  • 作業効率が上がる従業員同士の相性
  • 各人が持っている技術力と育成のタイミング
  • 過去の実績による過渡期、閑散期の予測
  • イレギュラー対応による人員の配置
  • 急な欠勤に対する補填人員の配置

シフトを作成する管理者の労力は他業務とは比較できないほど重労働です。

AI搭載の労務管理システムは必要な情報を登録しておけば、ワンクリックで複雑なシフトを組めます。

もちろん、AI機能が作成したシフト表のチェックは管理者が行い、最終調整しないといけません。

従業員の勤怠状況を把握しやすくなる

AI搭載の労務管理システムを活用すれば、従業員の勤怠状況をタイムリーに把握しやすくなります。

従業員の勤怠を機械的に常にチェックするため、残業時間が増えた方、急に欠勤気味になった方などの変化が出た勤怠も迅速に検知するでしょう。

小さな変化に気がつけば、心身的に不健康になった従業員の早期発見にも役に立ち、不調になる初期のタイミングで的確な対処も可能です。

また、すぐにフォローできる体制が整い安心して働ける環境は、従業員それぞれの働く意欲を高め、生産性のアップにも繋がります。

建設業における労務管理にAIを活用するデメリット

建設業が抱える労務管理の課題を解決できるAI機能が搭載された労務管理システムは、もちろんデメリットも存在し理解することが不可欠です。

デメリットは、システム本体の導入や維持管理にかかる費用が高いことと、システムがトラブルに見舞われた時の対処が困難というポイントがあります。

一般的な労務管理システムと比較して、AI搭載のシステムは費用がとても高く、対費用効果が釣り合わない場合も多くシステム導入に慎重になるでしょう。

また、どんなに最先端で高度なシステムであっても必ずエラーは起きるため、システムエラーが発生したときの対処方法は確立させておく必要があります。

建設業における労務管理のAI活用事例

改正労働基準法にともなう建設業の2024年問題に対して、AI搭載の労務管理システムを導入し取り組んでいる企業もあります。

大手ゼネコンの清水建設株式会社と鹿島建設株式会社におけるAI機能を活用した労務管理の事例を紹介します。

清水建設株式会社

清水建設株式会社のAI機能を搭載した労務管理システムには、顔認証を導入したスマートロックがあります。

このシステムは入退室時に顔認証用のタブレット端末に顔をかざすだけで、ドアの鍵の開錠とその履歴データを集約し管理できるシステムです。

集めたデータをもとにして従業員が入退室した時刻を割り出せます。

顔認証+スマートロックのシステムと勤怠管理システムを連携させて、出退勤時刻を勤怠表へ自動的に反映することを実現しています。

また、システム導入に関してハードルも低く、工事不要でかつ移設も容易なところも特徴の1つです。

顔認証は持ち運べるタブレット端末で対応し、スマートロックは両面テープで固定するだけ、という手軽さになります。

鹿島建設株式会社

鹿島建設株式会社のAI機能がある労務管理システムは、画像AIと現場に設置している固定カメラの映像で、工事を完了するのに必要な人員と時間を解析します。

解析の目的は、今まで以上に生産性の向上が求められているからです。

建設業は高齢技術者の引退などによる人手不足や、改正労働基準法による労働時間の上限が定められたことで、今までの工事手順では立ち行かなくなってしまいます。

そのため、現場に設置した固定カメラが映し出す映像データを画像AIの解析により、工事にかかる正確な人数と時間を把握することに取り組んでいます。

データ量が増え分析がすすむほど、建設業における生産性の向上に期待ができるシステムです。

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【まとめ】建設業における労務管理はAIを活用して課題を解決しよう!

今まで建設業の労務管理に関する課題を克服するため、様々な方法が試されましたが正直いって大きな変化はありませんでした。

ただ、AI機能が生み出された近年ではその技術を使うことで、課題の解決に向けた動きが活発になっています。

導入費用などのクリアすべき問題もありますが、建設現場で働くすべての従業員の働く意欲を高めるためには、建設業における労務管理はAIなしには考えられません。

AI搭載の労務管理システムを導入し、労働環境が厳しいと言われている建設業のイメージを変えていきましょう。