建設業界の今後の動向は?現在進行中のプロジェクトについてもご紹介!

「建設業界の将来性が知りたい」「建設業界が抱える問題点ってなにがあるの?」「建設業で求められる人材になるには?」と気になる方はいませんか?建設業界で長く働きたいと考えているなら、今後の動向はぜひ知っておきたいですよね。どのような変化があるか予想しておくと、今のうちから準備できることも多いと思います。そこで今回は建設業界の今後の動向について詳しく解説しました。現在進行中のプロジェクトについても紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

建設業界の今後の動向

建設業界は今後どのように変化していくのでしょうか。建設業界はこれまでも東京オリンピックの開催やテーマパークの建設などで関心を集めました。しかし震災の際には建築物や工作物が倒壊することもあり、社会情勢だけでなく自然災害にも大きく左右される業界です。まずは現状から将来的な建設業界の見込みについて予想してみました。

公共工事の需要安定

まず公共工事の需要は比較的安定していると思われます。新たに建設するだけでなく、老朽化した建築物や工作物の解体・補修工事も行うからです。特に上下水道や道路のインフラ整備は欠かせません。もし災害で破損してしまった場合、街そのものが機能しなくなってしまいます。公共工事は人々の生活を支えるとても重要な仕事です。

SDGsに関連する取り組みによる脱炭素化に向けた推進

次に脱炭素化の取り組みがますます推進されるでしょう。現在日本でもSDGs(持続可能な開発目標)が掲げられ、様々な取り組みをしています。SDGsはより良い社会の実現を目指す世界共通の目標です。環境に関する目標では気候変動の対策を求めています。そこで注目されているのが「脱炭素化」への取り組みです。温暖化の原因である温室効果ガスは熱を閉じ込める性質があります。温室効果ガスのなかでも二酸化炭素の割合が多いため、脱炭素化は気候変動の対策に有効と言われています。ただし現代の生活で二酸化炭素の排出をゼロにするのは難しいので、排出と吸収・除去でプライスマイナスの状態(カーボンニュートラル)を目指しています。建設業界でも環境に配慮した建材や二酸化炭素を吸収するコンクリート材の導入などを行っています。今後も脱炭素化への取り組みは推進されるでしょう。

外国人労働者人口の増加

外国人労働者人口は増加傾向にあります。現在の建設業界では職人の高齢化や若年層の減少により、人材不足に陥っています。そのため近年では外国人労働者を採用する企業も増えてきました。現時点では外国人労働者の割合は約1.3%と少なめです。建設業界の需要に合わせて、今後は外国人労働者の人口はますます増えていくでしょう。

働き方の見直し

働き方を見直す取り組みは建設業界でも見られます。過酷な労働環境は人材不足の原因の一つです。長時間労働や不規則なスケジュールは従業員の負担になります。本人が長く続けたいと思っても、体力面で厳しくなり辞めるケースも少なくありません。せっかく建設業を希望しても、環境面で続けられないのはもったいないですよね。このような問題を解決すべく、政府は「建設業の働き方改革加速化プログラム」を推進しています。残業を減らしたり、休みを取りやすくしたりと労働環境の改善に取り組んでいます。今後さらに建設業界の働きやすさが重視されるでしょう。

IT化やAI導入を図る企業の増加

IT化やAIを導入しているのは大企業だけではありません。建設業界でも作業効率の向上や生産性を高める目的で積極的にツールを活用する会社も増えてきました。現場の管理や事務仕事にタブレットを使用したり、建物の外壁調査にドローンを活用したりと様々です。IT化やAIの導入で仕事の効率性が上がり、より働きやすい環境になるのではないでしょうか。無駄な作業が少なくなれば、時間の節約になります。ITの活用やAIを上手に取り入れると労働環境の改善にも繋がるでしょう。

建設業界で今後活躍する3つのプロジェクト

建設業界は様々な工事に携わっています。なかでも大きなプロジェクトは「リニア中央新幹線」「大阪万博」「IR事業」の三つです。どれも私たちの生活に関わるものであり、今後はさらなる注目を集めるでしょう。

リニア中央新幹線

リニア中央新幹線は東京〜大阪を結ぶ新幹線です。最高時速505kmで走行し、東京を出発してから約1時間で大阪に到着します。東京〜名古屋間は最速40分という驚異的な速さです。当初の計画では2027年に品川〜名古屋間、2045年に名古屋〜大阪間が開通する予定でした。計画にやや遅れは見られますが、現在は品川・名古屋間の早期開業を目指しています。完成すれば圧倒的な時間短縮により、東京〜大阪間の移動がより活発になるでしょう。社会生活の変化は莫大な経済効果をもたらすと期待されています。

大阪万博

大阪万博は2025年に開催予定です。大阪万博を機に経済の活性化が見込まれ、約2兆円の経済効果があると予想されています。また大阪万博の開催にあたり、建設業界は交通整備を推進しています。会場へのアクセスが良くなれば、より多くの来場者が訪れます。周辺施設の建設や拡張工事など建築業界の需要は高く、業界全体で多大な利益が得られるでしょう。

IR事業

IRとは「Integrated Resort」の略で統合型リゾートと呼ばれます。IRはホテルやショッピングモール、カジノ等が一体になった施設群のことです。現在の法律でカジノ施設は認められていませんが、2018年にIR実施法案が成立しました。IRは通称カジノ法案とも呼ばれ、カジノ施設の誕生に懸念を示す人も多いです。しかし総合型リゾート施設は直接的な収益に加え、雇用の創出や建設事業の利益も見込まれます。海外ではIR事業に成功している国も多く、今後の建設業界において注目すべき事業の一つです。

建設業界が抱える3つの課題と解決方法

建設業界は今後も更なる活躍が期待できそうです。では建設業界が抱える問題点はあるのでしょうか。今回は三つの課題とその解決方法を紹介します。

高齢化の進行

一つは「高齢化の進行」です。建設業界は特に高齢化が進んでいます。国土交通省の資料によると、2021年の建設業就業者は55歳以上が35.5%、29歳以下は12.0%でした(参考:「最近の建設業を巡る現状について」p.5)。55歳以上が3割以上いるのに対し、29歳以下は約1割です。さらに高齢化が進み、10年後には大半が引退すると予想されています。これからの建設業を担う若手の確保が大きな課題です。

解決方法

高齢化による人手不足の解決方法に「ICT」があります。ICT(Information and Communication Technology)は情報通信技術を使って、人とITや人と人を繋げることです。たとえば建設業界では社内システムで情報共有、自社のSNSで顧客に情報を発信するように活用している人も多いと思います。また「IoT」も人手不足に役立つでしょう。IoT(Information of Things)は人を介さずにモノとインターネットが接続・通信することです。スマート家電のような身近なものから、建設機械の自動運転化にも応用されています。国土交通省ではICTを建設現場に全面活用する「i-Construction」を推進しています。積極的にICT機器を導入し、少人数で生産性の向上を図ることが目的です。

働き方改革の遅れ

二つ目は「働き方改革の遅れ」です。「働き方の見直し」の段落でも説明したように、建設業界は働き方の改善が求められています。他業界と比べても労働時間が長く、残業も多いです。長時間労働はワークライフバランスを崩しやすく、更なる人手不足を招きかねません。早急に働き方を見直す必要があります。

解決方法

一番の解決方法は労働環境を一つずつ見直すことです。残業を減らし、週休二日を導入して働きやすい環境に変えなければなりません。また外国人労働者の雇用を進め、人材不足の解消に努めることも大切です。そして充実した研修制度や新人教育などは、長期的に活躍できる人材を育成できるでしょう。労働環境の改善は早期離職を防ぎ、新たな人材の確保にも繋がります。

人手不足の深刻化

三つ目は「人手不足の深刻化」です。建設業の人手不足は年々深刻化しています。国土交通省の資料によると、建設業就業者は1997年は685万人、2010年は498万人、そして2021年では482万人と減少しています(参考:「最近の建設業を巡る現状について」p.5)。特に技術者・技能者の数が少なく、今後も人手不足が続くと言われています。いち早く人材の確保に努めなければなりません。

解決方法

近年の建設業界では女性の雇用を積極的に進めています。もともと体力仕事が多い建設業界は男性中心の業界でした。しかし建設業でも女性の活躍を後押しする動きが見られます。女性や若手の人材を確保するためにも労働環境の改善は不可欠です。女性の雇用促進に向けて、建設産業全体で取り組んでいます。

今後の建設業界で求められる人材5選

ここまで建設業界の現状から課題点を解説しました。高齢化や労働環境、人手不足を解消するには、新しい取り組みや多様な人材が必要です。そこで今後の建設業界で求められる人材の特徴を五つピックアップしました。

若い人材

高齢化が進む建設業界では若い人材が求められています。体力的な面で長く働けるだけでなく、若い人の柔軟な考え方は建設業界に変化をもたらすでしょう。

経歴や性別に左右されない多様な人材

建設業界では専門的な知識が必要です。そのため働きながら様々な資格を取得する人も少なくありません。建設業は経歴や性別よりも、仕事に生かせる知識やスキルが重要です。学歴や性別を問わず雇用することは、優秀な人材の確保にも繋がります。多様な人材は建設業界をより発展させるでしょう。

コミュニケーションに長けた人材

コミュニケーションに長けた人材も必要です。年齢や性別、国籍が多様化すると、より多くの人と関わるようになります。分かりやすい説明を心がけ、相手の意図を汲み取る姿勢は誰に対しても大切です。スムーズな意思疎通は仕事をする上で欠かせません。コミュニケーションに長けた人材は様々な場面で活躍できるでしょう。

強い責任感を持った人材

強い責任感を持った人材も重要です。建物を一つ建設するのに大勢の人が関わっています。裏方から現場まで一人一人が自分の役割を理解し、責任を持つことが大切です。建設業は小さなミスが大きな欠陥に繋がる可能性もあります。逆に一人一人が丁寧な仕事を心がけていれば、素晴らしい建築物が完成するでしょう。

IT技術に特化した人材

IT技術に特化した人材は建設業界でも需要があります。前述したように建設業界はICT化を推し進めています。デジタル技術の活用は人材不足や働き方の問題を解決できる方法です。今後もICT化はさらに進むため、IT技術に特化した人材はかなり需要があると思います。

【まとめ】建設業界の未来は明るい!課題を乗り越えるためにも、建設業界に積極的に関わっていこう!

いかがだったでしょうか。今回は建設業界の今後の動向について解説しました。現在の建設業界はSDGsの推進や外国人労働者の雇用などに取り組んでいます。さらにリニア中央新幹線の開通や大阪万博といった大きなプロジェクトもあり、今後も建設業界の需要は高いでしょう。こうした需要があるにもかかわらず、現状は「高齢化の進行」「働き方改革の遅れ」「人材不足の深刻化」が懸念されています。これらの課題を解決するにはデジタル技術の活用や多様な人材が必要です。業務の効率化を図り、労働環境を改善することは新しい人材の確保にも繋がります。人材不足の解消で建設業界は更なる活躍が期待できるでしょう。